「見せかけの勤勉の正体」を読了。
モチベーションマネジメントなどについてのビジネス書。非常に参考になった。
以下文中で気になったポイントを記載する。
外国では休暇完全取得
日本人は決まった仕事を決まったメンバでこなすのは得意だが、新しいプロジェクトを新しいメンバで進めていくとさっぱりだめ
チームへの参加が受身であるため、プロジェクトが失敗したときはだれも結果に対して責任をとろうとしない
日本人は昔からモチベーションは高くなかった。大量生産の時代はモチベーションが低くても仕事ができた
本物のモチベーションは本人の自発性から生まれる
人は自分が進んで身を委ねた目標のためには自ら自分にムチ打って働くものである
遅くまで残業し、有休もあまりとらない事でやる気を忠誠心を認めてもらいたい、と思っている
↑人事評価に出る
↑工業化時代では確かに正しかった
↑能力主義と異なるので、不満につながる
仕事が多いとき、欧米では早朝に出勤して仕事をする人が多い
高い目標に挑戦したり新しい仕事に取り組んだりすると、ただでさえ遅い帰りがいっそう遅くなる
残業をルールによって制限したことで、挑戦とゆとりのトレードオフが解消され、自分の能力を発揮したい、という本能が発揮されるようになった
がんばっても報われるとは限らない。成果をあげるにしたがって目標がどんどんたかくなっていく
「管理」の効果はすぐ現れるのに対し、その弊害はゆっくり現れる
よい人間関係と濃密なコミュニケーションはイコールか
親しい仲間内での人間関係が濃密になれば、それだけ外の人間との関係は希薄になる
欧米企業ではやる気をできるかぎり川下で評価、日本企業は川上で評価
成果を挙げていてもがんばり続けないと評価されないという無間地獄のような「やる気主義」に引き込まれる
やる気はなんらかの原因があって生まれるものである(原因がなければ発現しない)
「チームワークをよくしろ」「企業理念や目標を共有すべき」も同様。そういう条件を整えたり仕掛けを取り入れたりする必要がある
見せ掛けのやる気
子供が3歳か4歳になると、何でも自分でやりたがる→自律の欲求
マズローの欲求階層説には出てこないが、自己実現欲求・承認欲求は、自律の欲求と深くかかわっている
内発的動機づけ、フロー体験も、100%本人自身にコントロールされている
没頭しているときに上司がほめると、自律した状態から離れる
やる気を評価すれば、自発的なやる気は土台から侵食される
「やる気のパラドックス」
金魚すくいの法則
→こちらが入れ込みすぎて積極的に出ると、相手は警戒して引く
やらされ感←→所有感
所有感をもつことによってチームワークがよくなる。←自分の目標を成し遂げるには他人の力を借りなければならないため
将来へのキャリアが会社の外へ青天井に開かれていると、自分の能力を伸ばそうという意欲も大きくなる
→社外へステップアップできる機会を選択肢として示す
『未来工業』の例。まずアメを渡す。アメ=徹底した労働時間の削減。「うっかりアメをなめたらひどい目に遭う」ようにはしない(早帰りしたら周りからにらまれた、など)。残業禁止など。(サービス残業の温床になる。ほかの人もサービス残業しないといけないと思ってしまう)
会社は社員のもの←所有感
有給休暇の買取を会社に義務付けする国がおおい→そこでは、有休の取得はほぼ100%
「評価」がやる気阻害の最大原因。評価は3段階くらいまでが限度。あいまいにしか評価できないのにむりに数字に置き換えるとその情報が一人歩きする
上司が人のうえにたつ、という前提が間違いの元
能力や見識の不足をやる気でカバーするのは、他人に迷惑のかからない自分の仕事だけにすべし
人の管理より仕事の管理を
管理は腹八分目で
モチベーションには適正な値があり、高すぎるモチベーションはパフォーマンスを逆に低下させる
立場も目標も、生き方や人生観も違う部下に、自分と同じようながんばりを期待することじたいが無理
管理したい、という欲求を抑える方法
→ほかに関心を向けること
→管理職はプレイングマネジャーでよい
(管理部分の負担を少なく。自然な形でセーブできる)
職人的な作業では仕事に自律性が必要だし、成果も見えやすいのでプレイング・マネジャーがなじみやすい
部下側の条件。基本的な仕事の進め方をマスターし、職場のルールを守れるようになったら専任の管理職は必要がない
片手間なら専任に比べて面子や意地を捨てて柔軟に対応できる
優秀な経営者が、影響力を持つようになってから趣味に身を投じる人がいる
片手間でやる「リーダ」の役割
①外圧の矢面にたつ
個人的な悩みに対処する
②仕事ぶりを川下で見る
③部下を支援する
ストレッチ目標(ちょっと無理をしないと到達できない目標)
支援が組織やリーダ自身のためではなく、部下個人にとっても具体的なメリットをもたらすことを明示的・暗示的に与え、理解させなければならない
承認とは相手の隠れた才能や優れているところを本人に気づかせることである
部下の成熟度によって認め方を変える。若手には具体的な事実などを示す。成熟度が増してくると、顧客の評価や第三者の声をフィードバックしてやる
チームワークをささえるサポート
↑新入りにはチームに溶け込むまで積極的にサポート
ベテランには、人間関係のまだら模様(濃淡のムラ)をなくし、適度な濃さにするように
支援するほうのメリット:
長期的な関係や世間の目(狭い世界では、部下がやめたら、やめた部下もいずらくなるからやめにくい)
→教育にも思い切ったコストがかけられる
今後は控えめだがいざというときにたよれるリーダが求められる。今までは押しのつよいリーダが目立っていたが、現在問題が顕在化したので淘汰されるだろう